のんびりまったりぷかぷかと
去年文化祭ようにと書いていたので一年前の小説です。
結局うまくつなげることができずにそのままお蔵入りしたのですが、今ここでさらしてみる。
要望があるならがんばって続き書いてみようかな……たぶん短く終わるけど。
結局うまくつなげることができずにそのままお蔵入りしたのですが、今ここでさらしてみる。
要望があるならがんばって続き書いてみようかな……たぶん短く終わるけど。
「朝なんて、来なければいいのに」
何気なしに、そう呟いた俺は、何でそんな事を言ったのか、思ったのか、全く理解していなかった。ただ、漠然とそんな事を思っただけだったのだが、それを聞いたそいつは大層顔を歪めて、それは良くない、良くないね、と首を左右に振った。その返答に一拍間を空けて、そいつは再び口を開いた。
「朝が来なければ、私はいつ寝ればいいの?」
「……は?」
「だから、朝が来ないんなら、私はどの時間に寝ればいいのか解らないじゃない」
「……、いや、そもそも朝は起きる時間だろ」
「何言ってるの、貴方が夜にしか来ないから、私は朝に寝るしか無いんじゃない」
「……」
「だから、私はいつ寝ればいいの?それが解らなくなるから困るよそれは」
肩を竦めて、やれやれと言わんばかりに溜息をついた。そして、それに、と言葉を続けた。
「月が、光れなくなる」
……。
それは、とても嫌かも知れない。だが、『朝が来ないこと』と、『月が光れなくなること』はどう関係あるのか。皆目見当がつかない。それを伝えると、
「あれ、知らない?」
と、実に意外そうに眼を見開いた。そして、ふむ、と少し考えるように間を開ける。恐らく、俺に話すためにこいつの中で一度話をまとめているのだろう。
「私も良く解らないんだけど、月って言うのは、太陽とか他の星の光を反射して光ってるらしい。で、朝が来ないって言うのは、太陽が無くなるって事でしょう?つまり、月は光れない、光れたとしても、格段に光は弱くなる」
「へー」
それは知らなかった。
「太陽のぽかぽかしたのも好きだし、月の青白い光も好き。だから、朝が来なくなると私は困ってしまうよ」
心底困ったような口調で――否、実際こいつはこの例え話だけで困っているのだろう――言う。ややあって、目を細めると、
「ああ、そう言えば今日は満月だったね」
と、立ち上がり、窓に嵌めてある柵に触れた。そして、にこり、と笑むと、
「君と私が会ったのも、満月だったね」
そう言って、少し冷えた指先を俺の頬に当てた。ひやり、とした指先は、しかし、確かな熱を持って俺を僅かに温めた。
「そうだったなー。最初はこんな良くしゃべる意味わかんねー奴だとは思わなかった」
「……失礼だな君は。私だって君がこんなにまめな奴だとは思わなかったさ」
「そうか?」
「ああ。まさか本当に毎日来るとは思わなかった。実は君、馬鹿だろう」
「……お前も失礼だよ」
何気なしに、そう呟いた俺は、何でそんな事を言ったのか、思ったのか、全く理解していなかった。ただ、漠然とそんな事を思っただけだったのだが、それを聞いたそいつは大層顔を歪めて、それは良くない、良くないね、と首を左右に振った。その返答に一拍間を空けて、そいつは再び口を開いた。
「朝が来なければ、私はいつ寝ればいいの?」
「……は?」
「だから、朝が来ないんなら、私はどの時間に寝ればいいのか解らないじゃない」
「……、いや、そもそも朝は起きる時間だろ」
「何言ってるの、貴方が夜にしか来ないから、私は朝に寝るしか無いんじゃない」
「……」
「だから、私はいつ寝ればいいの?それが解らなくなるから困るよそれは」
肩を竦めて、やれやれと言わんばかりに溜息をついた。そして、それに、と言葉を続けた。
「月が、光れなくなる」
……。
それは、とても嫌かも知れない。だが、『朝が来ないこと』と、『月が光れなくなること』はどう関係あるのか。皆目見当がつかない。それを伝えると、
「あれ、知らない?」
と、実に意外そうに眼を見開いた。そして、ふむ、と少し考えるように間を開ける。恐らく、俺に話すためにこいつの中で一度話をまとめているのだろう。
「私も良く解らないんだけど、月って言うのは、太陽とか他の星の光を反射して光ってるらしい。で、朝が来ないって言うのは、太陽が無くなるって事でしょう?つまり、月は光れない、光れたとしても、格段に光は弱くなる」
「へー」
それは知らなかった。
「太陽のぽかぽかしたのも好きだし、月の青白い光も好き。だから、朝が来なくなると私は困ってしまうよ」
心底困ったような口調で――否、実際こいつはこの例え話だけで困っているのだろう――言う。ややあって、目を細めると、
「ああ、そう言えば今日は満月だったね」
と、立ち上がり、窓に嵌めてある柵に触れた。そして、にこり、と笑むと、
「君と私が会ったのも、満月だったね」
そう言って、少し冷えた指先を俺の頬に当てた。ひやり、とした指先は、しかし、確かな熱を持って俺を僅かに温めた。
「そうだったなー。最初はこんな良くしゃべる意味わかんねー奴だとは思わなかった」
「……失礼だな君は。私だって君がこんなにまめな奴だとは思わなかったさ」
「そうか?」
「ああ。まさか本当に毎日来るとは思わなかった。実は君、馬鹿だろう」
「……お前も失礼だよ」
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