のんびりまったりぷかぷかと
くらいで書いた小説。
続きます。
ちょっくらキャラ紹介。
四葉 望(ヨツノハ ノゾム)
ツンデレ少年。凪の後輩。家は結構な金持ち。
佐崎 圭(ササキ ケイ)
四葉と同じ学校の苦労人。
神崎 将太郎(カンザキ ショウタロウ)
上二人と同じ塾に通ってる。今後出てくるかは不明←
サラ
四葉の元婚約者。
圭とは幼馴染。
以上をふまえたうえでどうぞー。
続きは近いうちに……。
続きます。
ちょっくらキャラ紹介。
四葉 望(ヨツノハ ノゾム)
ツンデレ少年。凪の後輩。家は結構な金持ち。
佐崎 圭(ササキ ケイ)
四葉と同じ学校の苦労人。
神崎 将太郎(カンザキ ショウタロウ)
上二人と同じ塾に通ってる。今後出てくるかは不明←
サラ
四葉の元婚約者。
圭とは幼馴染。
以上をふまえたうえでどうぞー。
続きは近いうちに……。
――雪が降った所もあるらしい。
そんな話を小耳に挟みながら、カーキのジャケットに腕を通した。
軽く整えてから鞄を持ち直して、階段をゆっくりと降りる。
室内にいても、廊下までは暖房は届いていないらしく、息が微かに白い。
外に出たらもっと寒いんだろうな、と考えながら、きいっと少しだけ音をたてて硝子戸を開けた。
瞬間、刺すような冷たさに少しだけ身震いをしたが、そのうち慣れるだろう、と息を吐き出した。
ぽすん、という音と共に、背中に軽い衝撃。
首をひねれば、モスグリーンのマフラーに鼻先まで顔を埋めた友人――知人にしておこう――知人が立っていた。
「よ」
「……こんにちは」
ややくぐもった声に、少し眉を眇めながら返せば、寒くないのか、と聞かれた。
「寒さには強い方ですから」
「ふうん……」
答えながら、先を歩く。
知人――佐崎 圭は、少し歩調を速めるだけで、すぐに隣に並ぶ。
適当な会話をしながら歩いていれば、もう一人、知人が加わる。
塾の帰りには大体このメンバーで帰る事になっているのは、たまたま家が同じ方向だと言う理由からである。
信号待ちをしながらぼんやりと車を眺めていると、視界の端に淡い金髪が映る。
慌ててそちらを見れば、去年卒業した高校の先輩が立っていた。
先輩もこちらに気づいたようで、四葉君、と声を上げた。
ああ止めてください恥ずかしい!
そう叫ぶわけにもいかないので、信号が変わるのを待って(長かった!)、小走りで横断歩道を渡る。
先輩はへらりと笑いながら、そこから動かない。
「、浅葱先輩」
「久しぶりですね、四葉君。佐崎君も久しぶり」
にこりとした笑みが、後ろから追ってきた圭にも向けられる。
それに圭もお久しぶりです、と返す。
自身はと言えば、何と言えばいいのか解らず、黙りこくったままである。
「あ、の」
「はい?」
「渡らなくて、良かったんですか?」
いや、まあ、こちらが引きとめてしまっているのだが。
そう訊くと、ああ、と柔らかく笑って、四葉君が見えたから、待ってただけですから、と返された。
ああもう、この人は私を喜ばせることが得意で困る。
そう思いながらも、そうですか、と無愛想な返事しか返せないこの口が少しだけ憎い。
この口、というか、正確にはプライドが、だが。
「なーなー、俺おいてけぼりー」
不満げな声に、そういえば、と思い出す。
こいつは学校が違うから、浅葱先輩の事は知らないのだ。
圭が簡単な説明をして、そいつはずいっと前に乗り出した。
「へー、俺、神崎 将太郎って言います。この二人とは塾で一緒で」
「神崎……?」
将太郎の苗字に、少しだけ怪訝な顔をしたが、浅葱先輩はすぐに笑顔に戻ると、
「浅葱 凪だよ。好きなように呼んで貰っていいから。――ところで神崎君」
「あ、将太郎で良いっすよー」
「じゃあ、将太郎君。お兄さんとか、いるかな?」
「えーいませんけど」
「そっか」
「あ、でも、先輩と同じ高校通ってた従兄なら」
「……へえ」
その人元気?と首を傾げた浅葱先輩に、元気っすよーと、朗らかに返す将太郎。
誰の話をしているか解らないが、とりあえず何だかいらっとしたのは隠しておく。
「そっか、よろしく伝えといてね」
「了解っすー。にしても凪サン美人さんですねー」
「あはは、おだてても何も出ないよー?」
「いやいや、マジで」
くすくす笑う先輩に、将太郎。
――ああ、駄目だ。
「先輩」
「ん?」
「今からお暇ですか?」
将太郎との話を遮って――それでも一応会話の切れ時を狙った――浅葱先輩に声をかければ、きょとんとした目でこちらを見られた。
将太郎もやや目を見開いて、そして状況を察したらしくにやにやと笑って見下ろしてくる。
……高々5㎝高いだけで。
そう内心毒づきながら、先輩の返答を待つ。
先輩は意味が解らないようで、暇ですけど、と首を傾げた。
先輩にはちゃんと恋人がいて、そこに入る隙間がないのは知っている。
でも、それを知っているから、知っているけれど、少しくらい、足掻いたって良いと思う。
「暇なら、映画でも見に行きませんか?」
丁度、チケットがあるんです。
一人で行くのも勿体ないし、よければ一緒にどうですか。
も、勿論無理強いはしませんし、大体貴方を誘いたくて誘っている訳ではなく、たまたまいたから、誘っているだけですからね。
そう、一気に捲し立てれば、後ろから必死に笑いをこらえる空気。
……後で覚えてろ。
「久しぶりですね、映画。御一緒させてもらっていいですか?」
「、も、勿論です」
「ああ、でも」
――こんなに年下を連れていると、何だか僕、少し悪い感じがしますね。
少し間を開けて、にこりと笑って言葉を発した先輩に、ああ、しまった、この空気は少しまずい、と悟る。
先輩はとてつも無く鈍いのだ。
いや、普段はなかなかの洞察力を発揮しているが、しかし、自身に関して好意を持たれている、と言う状況を全くと言って良いほどに理解をしない。
おそらく、『二人だけで映画』、ではなく、『四葉君と圭君と将太郎君の3人と一緒に映画』になっているのだろう。先輩の中で。
ちらりと二人に視線を向ければ、将太郎と圭がお互いに顔を見合わせて、そしてにやりと笑うと、
「いや、俺その映画元々興味無かったんで」
「俺は、これからサラに呼び出されて」
将太郎は朗らかに笑いながら、圭は眉を下げながら苦笑気味に言う。
それに先輩はそうなんですか、と言って、少し残念そうにした。
「――私と二人だけでは不満ですか?」
「?いいえ。嬉しいですよ、四葉君と映画」
「……そうですか」
あまりに楽しそうに笑うものだから、何も言えなくなる。
とりあえず、二人と別れる間際に、将太郎に今度何か奢れ、と言われた事は軽く耳にひっかける程度にして先輩と並んで歩きだした。
先輩との肩の位置の違いに、2年――実際にはそれと半年位――の月日の流れを感じて、僅かに血が上った。
それに目敏く気づいた先輩が、寒いですね、と笑った。
寒くて良かった。
「背、随分伸びちゃいましたね」
少し残念そうに言った浅葱先輩に、成長期でしたからね、と返せば、まだ伸びますよ、と拗ねたように返された。
「会ったころはそんなに変わらなかったのに、」
手を頭のあたりに持ってきて、ひらひらさせる先輩は心底残念そうだ。
それに思わず笑みをこぼすと、先輩もつられたように笑った。
「先輩」
「はい?」
「先輩が思うほど、私は子供じゃないんです」
「そうだね」
「だから、あまり子供扱いはしないでくださいね」
「してないつもりですけどねぇ」
「してるんです」
「……そうですかね」
「ああそれと」
「はいー?」
「どうして、将太郎の時と、口調が違うんですか」
言うと、先輩は少しきょとんとした後、けらけらと笑って、
「だって、子供扱いすると怒るじゃないですか」
曰く、それは先輩の気遣いだそうで。
微妙な気遣いだと、溜息が出そうになる。
そんな様子に、気付いているのかいないのか――十中八九気付いてない――先輩は笑って。
「今日は四葉君とデートですね」
「た、ただ映画を一緒に観るだけじゃないですかっ」
「そうですねぇ、失礼しました。ああ、四葉君、御昼は食べましたか?」
「まだ、ですけど」
「じゃあ何か食べてから行きましょうか。美味しいパスタが食べたいんです。付き合ってもらえますか?」
「し、仕方ないですね」
ありがとうございます、と笑った浅葱先輩に、軽くめまいがしたのは秘密だ。
とりあえず、二人には昼飯位なら奢ってやろうと、頭の隅で誓った。
NEXT
映画は、無難なところでアクションとかファンタジー。
大穴で恋愛←
四葉が面白いから恋愛にしようかな!←
そんな話を小耳に挟みながら、カーキのジャケットに腕を通した。
軽く整えてから鞄を持ち直して、階段をゆっくりと降りる。
室内にいても、廊下までは暖房は届いていないらしく、息が微かに白い。
外に出たらもっと寒いんだろうな、と考えながら、きいっと少しだけ音をたてて硝子戸を開けた。
瞬間、刺すような冷たさに少しだけ身震いをしたが、そのうち慣れるだろう、と息を吐き出した。
ぽすん、という音と共に、背中に軽い衝撃。
首をひねれば、モスグリーンのマフラーに鼻先まで顔を埋めた友人――知人にしておこう――知人が立っていた。
「よ」
「……こんにちは」
ややくぐもった声に、少し眉を眇めながら返せば、寒くないのか、と聞かれた。
「寒さには強い方ですから」
「ふうん……」
答えながら、先を歩く。
知人――佐崎 圭は、少し歩調を速めるだけで、すぐに隣に並ぶ。
適当な会話をしながら歩いていれば、もう一人、知人が加わる。
塾の帰りには大体このメンバーで帰る事になっているのは、たまたま家が同じ方向だと言う理由からである。
信号待ちをしながらぼんやりと車を眺めていると、視界の端に淡い金髪が映る。
慌ててそちらを見れば、去年卒業した高校の先輩が立っていた。
先輩もこちらに気づいたようで、四葉君、と声を上げた。
ああ止めてください恥ずかしい!
そう叫ぶわけにもいかないので、信号が変わるのを待って(長かった!)、小走りで横断歩道を渡る。
先輩はへらりと笑いながら、そこから動かない。
「、浅葱先輩」
「久しぶりですね、四葉君。佐崎君も久しぶり」
にこりとした笑みが、後ろから追ってきた圭にも向けられる。
それに圭もお久しぶりです、と返す。
自身はと言えば、何と言えばいいのか解らず、黙りこくったままである。
「あ、の」
「はい?」
「渡らなくて、良かったんですか?」
いや、まあ、こちらが引きとめてしまっているのだが。
そう訊くと、ああ、と柔らかく笑って、四葉君が見えたから、待ってただけですから、と返された。
ああもう、この人は私を喜ばせることが得意で困る。
そう思いながらも、そうですか、と無愛想な返事しか返せないこの口が少しだけ憎い。
この口、というか、正確にはプライドが、だが。
「なーなー、俺おいてけぼりー」
不満げな声に、そういえば、と思い出す。
こいつは学校が違うから、浅葱先輩の事は知らないのだ。
圭が簡単な説明をして、そいつはずいっと前に乗り出した。
「へー、俺、神崎 将太郎って言います。この二人とは塾で一緒で」
「神崎……?」
将太郎の苗字に、少しだけ怪訝な顔をしたが、浅葱先輩はすぐに笑顔に戻ると、
「浅葱 凪だよ。好きなように呼んで貰っていいから。――ところで神崎君」
「あ、将太郎で良いっすよー」
「じゃあ、将太郎君。お兄さんとか、いるかな?」
「えーいませんけど」
「そっか」
「あ、でも、先輩と同じ高校通ってた従兄なら」
「……へえ」
その人元気?と首を傾げた浅葱先輩に、元気っすよーと、朗らかに返す将太郎。
誰の話をしているか解らないが、とりあえず何だかいらっとしたのは隠しておく。
「そっか、よろしく伝えといてね」
「了解っすー。にしても凪サン美人さんですねー」
「あはは、おだてても何も出ないよー?」
「いやいや、マジで」
くすくす笑う先輩に、将太郎。
――ああ、駄目だ。
「先輩」
「ん?」
「今からお暇ですか?」
将太郎との話を遮って――それでも一応会話の切れ時を狙った――浅葱先輩に声をかければ、きょとんとした目でこちらを見られた。
将太郎もやや目を見開いて、そして状況を察したらしくにやにやと笑って見下ろしてくる。
……高々5㎝高いだけで。
そう内心毒づきながら、先輩の返答を待つ。
先輩は意味が解らないようで、暇ですけど、と首を傾げた。
先輩にはちゃんと恋人がいて、そこに入る隙間がないのは知っている。
でも、それを知っているから、知っているけれど、少しくらい、足掻いたって良いと思う。
「暇なら、映画でも見に行きませんか?」
丁度、チケットがあるんです。
一人で行くのも勿体ないし、よければ一緒にどうですか。
も、勿論無理強いはしませんし、大体貴方を誘いたくて誘っている訳ではなく、たまたまいたから、誘っているだけですからね。
そう、一気に捲し立てれば、後ろから必死に笑いをこらえる空気。
……後で覚えてろ。
「久しぶりですね、映画。御一緒させてもらっていいですか?」
「、も、勿論です」
「ああ、でも」
――こんなに年下を連れていると、何だか僕、少し悪い感じがしますね。
少し間を開けて、にこりと笑って言葉を発した先輩に、ああ、しまった、この空気は少しまずい、と悟る。
先輩はとてつも無く鈍いのだ。
いや、普段はなかなかの洞察力を発揮しているが、しかし、自身に関して好意を持たれている、と言う状況を全くと言って良いほどに理解をしない。
おそらく、『二人だけで映画』、ではなく、『四葉君と圭君と将太郎君の3人と一緒に映画』になっているのだろう。先輩の中で。
ちらりと二人に視線を向ければ、将太郎と圭がお互いに顔を見合わせて、そしてにやりと笑うと、
「いや、俺その映画元々興味無かったんで」
「俺は、これからサラに呼び出されて」
将太郎は朗らかに笑いながら、圭は眉を下げながら苦笑気味に言う。
それに先輩はそうなんですか、と言って、少し残念そうにした。
「――私と二人だけでは不満ですか?」
「?いいえ。嬉しいですよ、四葉君と映画」
「……そうですか」
あまりに楽しそうに笑うものだから、何も言えなくなる。
とりあえず、二人と別れる間際に、将太郎に今度何か奢れ、と言われた事は軽く耳にひっかける程度にして先輩と並んで歩きだした。
先輩との肩の位置の違いに、2年――実際にはそれと半年位――の月日の流れを感じて、僅かに血が上った。
それに目敏く気づいた先輩が、寒いですね、と笑った。
寒くて良かった。
「背、随分伸びちゃいましたね」
少し残念そうに言った浅葱先輩に、成長期でしたからね、と返せば、まだ伸びますよ、と拗ねたように返された。
「会ったころはそんなに変わらなかったのに、」
手を頭のあたりに持ってきて、ひらひらさせる先輩は心底残念そうだ。
それに思わず笑みをこぼすと、先輩もつられたように笑った。
「先輩」
「はい?」
「先輩が思うほど、私は子供じゃないんです」
「そうだね」
「だから、あまり子供扱いはしないでくださいね」
「してないつもりですけどねぇ」
「してるんです」
「……そうですかね」
「ああそれと」
「はいー?」
「どうして、将太郎の時と、口調が違うんですか」
言うと、先輩は少しきょとんとした後、けらけらと笑って、
「だって、子供扱いすると怒るじゃないですか」
曰く、それは先輩の気遣いだそうで。
微妙な気遣いだと、溜息が出そうになる。
そんな様子に、気付いているのかいないのか――十中八九気付いてない――先輩は笑って。
「今日は四葉君とデートですね」
「た、ただ映画を一緒に観るだけじゃないですかっ」
「そうですねぇ、失礼しました。ああ、四葉君、御昼は食べましたか?」
「まだ、ですけど」
「じゃあ何か食べてから行きましょうか。美味しいパスタが食べたいんです。付き合ってもらえますか?」
「し、仕方ないですね」
ありがとうございます、と笑った浅葱先輩に、軽くめまいがしたのは秘密だ。
とりあえず、二人には昼飯位なら奢ってやろうと、頭の隅で誓った。
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四葉が面白いから恋愛にしようかな!←
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